家族が死んだら、お葬式は必ず行わなければならないものなのでしょうか。最近では、不要説を唱える学者も出てきています。
人が死ぬと、残された者は、「遺体の処理」「社会的な手続き」「死者の弔い」の3点を行うのが一般的です。葬儀とは、このうちの「遺体の処理」「死者の弔い」を兼ねたセレモニーです。もし葬儀を不要と考えるのであれば、「遺体の処理」「社会的な手続き」だけを行います。つまり、「死者の弔い」はオプション行為であり、行わなくても法律的に罰せられることはなく、確かに必ずしもやる必要はないものです。
お葬式は不要だと考える多くの人には、葬儀業界や宗教界に対する不信感が大きいようです。確かに、葬儀社が不当に高い料金で葬儀を行い、利益を荒稼ぎしている場合もあります。お寺も、お布施として高額な読経料や戒名料を集め、税制でも優遇されている面もあります。予算的に葬儀を上げることが難しいなら、あるいは故人がそう望んだのであれば、葬儀は行わないというのはひとつの選択肢です。
では、セレモニーとしての葬儀にはどのような意義があるのでしょうか。ある学者は、葬儀には「精神的な意義」「社会的な意義」「宗教的な意義」の3つの意義があると主張しています。
「精神的な意義」は、主に遺族の心の問題です。葬儀には、残された人の悲しみを緩和する役割があります。「社会的な意義」は、死を地域社会や生前関係のあった学校・企業などに告知し、知人にお別れの機会を設けることです。「宗教的な意義」は、故人や親族が信仰している宗教・宗派によって、受け入れがたい死というものを教えの中で受けとめることです。これらのことに意味を見いだせるのであれば、予算を考慮しながら葬儀を上げるといいでしょう。