家族葬と密葬は、どう違うのでしょうか。家族葬と密葬は非常に似ています。公的な定義は無いので、葬儀社の方針や、人々の印象に依存します。
「密葬」という言葉は古くからあります。「家族葬」という言葉は近年になって登場したものです。昭和時代まで、葬式は、地域社会で行われ、近隣住人が多数参列したものです。そうした習慣の中で、あえて遺族だけ行う葬儀が稀にあり、それが密葬と呼ばれたのです。事故死、殺害事件、自殺などの特殊事情や、幼年者の死亡など、遺族だけで葬儀を行う特別な理由があるのが密葬です。
故人が生前に、自分が死んだら密葬にするよう遺言を残し、密葬になることもあります。現代でも、著名人の死亡の際、一般のファンの参列は受け付けず、遺族だけでひっそりと行う葬儀は密葬と報道されます。
このように密葬という言葉には、ある種のネガティブさがあるので、葬儀業界が、遺族だけで行う葬儀について別の呼称を提唱しました。それが家族葬という言葉です。上記のようなネガティブな事情があるわけではないが、費用を抑えたいという遺族の要請が増えたため、家族葬というポジティブな印象の言葉が編み出されたのです。