近年、お葬式の主流は「家族葬」(かぞくそう)となっています。かつては「密葬」と言われていた葬儀形式で、一般参列者を呼ばず、親族だけでコンパクトに葬儀・葬式を行うスタイルです。
かつて葬儀は、地域社会の中で、互助会を中心に、自宅を式場にして行ったものです。そのため近隣の参列者が数十人、数百人と訪れました。そうした社会状況で親族だけ行う密葬は、死亡理由が事故・事件だったり、自殺であったり、幼年者の死亡であったり、故人が強い遺志を残したりと、特別な理由があった場合だけでした。
しかし近年、葬儀の場は、地域社会から葬儀社・斎場に移行しています。特に都市部ではそれが顕著です。地方から都市部に上京してきた人々は、地縁が薄く、都市部では地域による結びつきが弱いこともその理由です。また、葬儀費用をできるだけ抑えたいという要望が多いことが、家族葬の増加に拍車をかけています。都市部で行われる葬儀の過半数は家族葬になりました。
家族葬に対して、従来型の葬儀は区別するために「一般葬」と呼ばれます。一般葬に比べ、家族葬の費用(料金)は低価格で、30万円から60万円です。ただし、香典収入も無い、または少ないので、遺族の負担額は変わらないか、かえって一般葬より多くなることもあります。