石川県には、13件の火葬場があります。人口的に、ちょうどよい数とも言えますし、南北に長い、能登半島が面積の多くを占める地理状況を考えると、やや少ないのかなとも言えます。小松市営斎場、加賀市営斎場は、小松加賀斎場さざなみのオープンに伴い、廃止されました。2014年6月1日に、やすらぎの杜(輪島市穴水町環境衛生施設組合)が供用開始となり、それに伴い、輪島霊苑および輪島市穴水町環境衛生施設組合火葬場が閉鎖されました。
石川県の葬儀費用平均は、133万5191円(2011年 全国儀式サービス調べ)で、全国10番目の高さ(47都道府県中)と、高額な部類に属します。隣の富山県が非常に高い葬儀費用ですが、似た風土の石川県も、その系統の流れを汲んでいるのではないでしょうか。家族葬もあまり増えていません。
歴史的には、加賀国と能登国からなり、保守的な風土としても知られています。とくに能登半島では、民家のほぼすべてが日本家屋であり、新築で家を建てる際にも、洋風ではなく日本家屋で建てるほどです。家屋は人工物ながら豊かな自然と調和しており、そのため、古き良き日本の味わい深い景観を楽しむことができます。
このような石川県においては、お葬式においても日本の伝統を他地域よりも色濃く残しています。たとえば、出棺から火葬場への移動(いわゆる野辺送り)では、喪主は白装束を着ます。白色の衣装は、他地域では、死者のみの衣装であり、遺族は黒い喪服をまとうのが一般的ですが、実は1970頃までは、喪主夫妻が白装束をまとうのは全国的にも珍しいことではなく、むしろこの方が我が国の伝統様式だったのです。伝統を重んじる同地では、喪主の白装束が依然として健在なのです。