鋸南町(きょなんまち)は安房郡市広域市町村圏事務組合に加盟しており、鋸南町民が亡くなったときは、同組合が管理する安房聖苑(2012年供用開始)、長狭地区火葬場のいずれかを使用します。両火葬場とも公営施設なので、職員に金銭・物品を渡してはいけません(心づけ・お清めの禁止)。安房郡市広域市町村圏事務組合は他に館山市、南房総市、鴨川市が参加しています。
鋸南町は房総半島の南方、東京湾に面する位置にあり、安房郡唯一の自治体です。人口は9000人を切り、過疎化が進んでいます。JR内房線が通り、保田駅、安房勝山駅と2駅あるほか、近年は高速道路が整備され、富津館山道路が通り、鋸南保田インターチェンジ、鋸南富山インターチェンジがあり、アクアラインとも結ばれているので、交通の便は飛躍的に改善されています。富津館山道路により千葉中心部へも行きやすくなり、アクアラインにより東京・神奈川方面へも行きやすくなったので、鋸南町の魅力に多くの人が気づき、人口が増加に転じることを願ってやみません。
鋸南町の葬儀事情ですが、千葉県では、御通夜の前に火葬を行う前火葬という風習が残っている場合があり、葬式組・年寄り講といった近隣住民の葬儀運営への参加(僧侶がお題目を唱えているあいだ太鼓を叩く等)する習俗もあります。家族葬は他地域にくらべ増えてはいません。安房郡鋸南町に本社・支店のある葬儀社は、青木権七商店、十全社などといった企業があります。
鋸南町といえば、鋸山(のこぎりやま)が千葉県有数の観光素材です。全長680mの鋸山ロープウェー(ふもとは富津市)に乗ると、凝灰岩が山肌に迫り出す奇怪な山の光景を眺めることができ、山頂に着きます。古くから石材の採掘場になっており、その結果、採掘跡が、幾何学的な岩石の山肌を形成し、その形がギザギザなので、鋸山という通称が生まれたのです。なお、正式名称は乾坤山(けんこんざん)といいます。中でも、山頂付近から海側に向かって数メートル岩石が迫り出している「地獄のぞき」は、高所恐怖症の方にとってはまさに地獄を覗くような恐怖を体験できるしょう。鋸山全域が日本寺(にほんじ)というお寺の境内になっており、高さ31mの日本寺大仏、百尺観音、千五百羅漢など、岩石を削って造られた奇観を鑑賞することができます。